【経営管理】決算書の読み方②

さて、決算書の読み方ですが、最近は色々な本がでていますので、じっくりと勉強されたい方はそちらをお読みいただくとして、
このコラムでは、ザクッと2,3分程度で決算書を読むというイメージでいきたいと思います。

(1)利益がでているか。
至極当たり前ですが、最も重要なことです。
売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益等の各段階損益がありますが、
特に営業利益・経常利益が継続して(2期以上)出ているかというのは重要なポイントです。

また、減価償却が計上された上での利益なのかも重要です。
減価償却は、税務上任意償却ということもあり、決算調整に使われやすい項目です。
償却資産(有形固定資産のうち、土地を除く)が多額に及ぶ製造業等において
未計上のまま(もしくは少額)利益がでているという場合は、実質は利益がでていない場合もあり、注意が必要かもしれません。
減価償却が別掲されていない場合には、前期と当期の償却資産の増減から減価償却がされているのかいないのかを推察することが必要になります。

(2)現金預金残高
一律に語れることではありませんが、1つの指標としては、
毎月のキャッシュアウト金額(*1)程度の残高があれば優良といえるのではないでしょうか。
また、現金預金残高ではなく運転資本でみるのも有効です。
運転資本=現金預金+売上債権(売掛金+受取手形)-仕入債務(買掛金+支払手形)

この場合は、滞留債権(*2)の有無も気にする必要があります。
回収可能性のない売上債権を売掛金として計上しつづけている会社はいくらでもあるはずです。
*1 (売上原価+販売管理費+営業外費用-減価償却費)÷12 というイメージです。
*2 売掛金÷(年間売上高÷12)で、売掛金が何か月分残っているのか確認するのも有用です。
卸売業は数か月、飲食業はほぼ0ヶ月といった業種特性がありますので、こちらも前期・前々期との比較が有効な手段です。

(3)借入金残高(リース債務や長期未払金といった設備関連の負債も含む)
過剰投資の結果、借入過多というのはリーマンショック以後、増加していると思います。
・売上高と借入金残高の比較
もちろん業種によりますが、同額くらいに借入金残高が増加していると要注意です。
・簡易的な返済可能年数算出による検証
借入金残高÷(経常利益―税金+減価償却)<15~20     もしくは、
(借入金残高-運転資本)÷(経常利益―税金+減価償却)<15
というのは、金融機関がもっているイメージの一例でもあります。
・金額の増減状況
借入明細別にみられれば一番なのですが、ない場合は、長期借入金の増減を確認します。
新規借入と返済で相殺されている場合もありますが、残高に比して超少額の減少が続いている場合は少し注意が必要です。

続く

☜ 記事の一覧に戻る

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする