事業承継について②

事業継承の参考写真

①からの続き

事業承継は、「財産の承継」と「事業の承継」に分かれます。

「財産の承継」は、前回コラムの通りですので、今回は、「事業の承継」をテーマといたします。

「事業の承継」とは、会社としての組織運営を次世代の経営者が引き継ぐことであり、簡単にいえば、社長の交代です。

この「事業の承継」は、「財産の承継」以上に難しいのは言うまでもありません。

今、会社があるのは現経営者が長年、社長としてあらゆる場面で辛苦を重ねてきた結果です。
能力面もさることながら、組織の長として従業員を引っ張ってこられた訳ですので、
リーダーシップを発揮されてきたことかと思います。

一方で、事業承継予定者。
今まで、どのような経緯を経て承継されるのかにより全く違いますが、

まずは、別の人間です。現経営者とあらゆる面において同等の能力を要求するのは酷であることは、間違いないでしょう。

中小企業の多くが、いわゆるワンマン経営者です。
ワンマン経営者の最たる特徴は、下記の2つですが、
・強いリーダーシップ(社長としての築いてきた人間関係)
・長年の経験にもとづく勘どころ
これをすべての事業承継予定者に求めるのは正直、無茶苦茶すぎます。

では、どうするのか?

 

「組織化」ということが、一番の解決策ではないかと考えられます。

大企業でも最終決定はワンマンのところもありますが、
「取締役会」という組織化されたところでの協議は事前にあり、またその前には部長会や幹部会といったものもあるでしょう。

この大企業の組織化でよいところは、
・何かを決めるにあたって、場に「議論の材料」がちゃんと並べられている。
・議論の場の参加者同士、相手を認め合っている。
・管理、報告の一元化が容易
という、ところです。
もちろん例外もありますし、例外だらけかもしれませんが、それはやり方次第です。

また、「組織化」するということは
社内の役割に応じて、部門などが設定され、部門長等の責任者も明確になります。

社内に入って年数の浅い、事業承継予定者には「仕入」「製造」といった部分がやはり不得手のケースは多くみられます。
特に、「製造」に関しては、勤続年数の長い職人気質の方がおられる場合もあり、
そういった方との人間関係構築というのは、大きな課題でもあります。

そのため、この部門長と言った責任者を、事業承継予定者側の人間として進めていくのが方策の1つになります。

 

事業承継予定者が現経営者と同じ道をたどって、経験・知識を得ていくことは時代・状況の違いから困難にも関わらず、
会社の意思決定は、現状と同程度のことを実行していくことが求められます。

そうであれば、
・意思決定の仕方を変えていく
・意思決定に辿り着くまでのやり方を変えていく
ということが、必要なのではないでしょうか。

そのためには、「組織化」ということが最短かつ最善の方策の1つであると考えられます。

社内管理体制、毎月の損益管理、資金繰り、
会社の規模が一定水準を超えると無視できない問題になるにも関わらず、
体制構築を進めておられる中小企業の方が少ないというのが現実ではないでしょうか?

事業承継時には、特に顕著な問題としてでてきます。
一度、会社の実情を見直してみることをおススメいたします。

 

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