この半年以内に、経営者保険による節税の話(法人)が3件ほどありました。
状況は様々でしたが、そういう話があることはとても嬉しいことです。
なぜなら、保険で節税 というのは、
「資金と利益に余裕があること」というのが大前提だからです。
保険といえば節税!みたいなイメージがまだまだ強いのが実情でしょうが、その理由は下記の2つではないでしょうか?
①過去のバブル期などのイメージが残っている
②保険会社の資料が分かりにくい
①について
昔であれば、保険料は預かったものとして保険会社が運用して多大な利益を出す。ということも可能であったかも知れませんが、いまや超低金利の時代です。
また、税制の改正により全損処理(支払った保険料を全て費用とする)規制も強くなってきています。
②について
よくよく計算してみれば分かるのですが、ほとんどの人が自分で計算などしません。
そして、保険会社の担当者も計算したことない人も多いのではないでしょうか??
ただ、見栄えのいい数字である「実質返戻率」が100%を超えていますね~
で、終わりなのではないでしょうか?
というわけで、今回は「保険で節税」ということについて、サンプルの表を使って確認してみたいと思います。
まずは、用語からです。
法人にもってこられる節税保険を理解するのに必須の用語としては、
「単純返戻率」「実質返戻率」「全損」「半損」があります。
単純返戻率:分母を毎年支払う保険料の合計、分子を解約時に戻ってくる解約返戻金として、収入÷支出 というもので、保険会社との収支のみで測定する指標。
実質返戻率:上記の単純返戻率に税金の影響を税率で加味した指標。
全損:支払った保険料の全てが費用として処理可能なタイプの保険
半損:支払った保険料のうち、半分が費用として処理可能なタイプの保険
では、下記の例を表形式で見てみましょう。
タイプ:全損、保険料:10,000千円/年、保険解約金:10年経過時に最大で85,000千円
上表では、単純返戻率は85%(b/a)、実質返戻率は118.9%((b+c)/a)となっています。
(上表はサンプルですので、ご理解ください)
毎年10,000千円の保険料によるキャッシュアウト。
保険料が経費・損金になることにより税金が税率分(33.85%と仮定)3,385千円減少による(実質)キャッシュイン。
以上から、保険に加入することにより毎年、6,615千円キャッシュアウトするというのが上表の1年目~9年目の状況です。
10年目は9年目までの6,615千円のキャッシュアウトと解約返戻金の85,000千円を足して、78,385千円のキャッシュイン。
税金を考慮すると、18.9%も得をするんですね~。
「それは、入らないと損だ!」ってなりますよね。
だって、保険会社が公に配っているで、嘘をつくなんてありえないんですから、
誰も疑問に思いません。
でも、単純な収支で85%のものが、税金を考慮すると118.9%になる
って、なんかおかしくない???
という疑問はぜひ持って欲しいところです。
⓶へ続く
大阪・兵庫で経営相談ならMSコンサルティング株式会社へ