保険で節税 について②

からの続きです。

「なんか違和感がある・・・」
と思った方は素晴らしいセンスです。

そう、この数字には少々のトリックがあります。
この計算の仕方はどの保険会社も同じですので、特定の方は責めてあげないでくださいね。

さて、その内容ですが、
「保険解約返戻金」について、税金が考慮されていない! の1点となります。
保険を解約すると多額の解約返戻金があり、本来はそれにも税金がかかりますが、その税金増額分を見ていない。
ということです。

それでは、この話が本当なのか数字でみてみましょう。
①の資料に解約返戻金に対する税金を追加したのが、下記の表になります。


この場合、返戻率は90.1%((b+c+e)/a)となっています。
よく考えてみてください!
単純なお金のやりとりで85%しか戻ってこないのに、税金を考慮したら100%を超えるのって、どんな税金? ってなりませんか?

 

上記の表だと少々分かりにくいかもしれませんので、
保険料計上前利益を20,000千円として、
この保険に入った場合、入らなかった場合を比較してみましょう。


保険に入ると、保険料10,000千円の支出計上と税金が3,385千円減少し、手元の利益・現金が6,615千円となります。
一方、保険に入らなければ利益20,000千円に税金が6,770千円かかり、手元の利益・現金は13,230千円となります。
これにより、保険加入の有無で1~9年目は毎年6,615千円の差が生まれることになります。
10年目は解約返戻金の有無で大きく変わります。

累計では、
保険に入った場合、支払税金は62,623千円で、手残りは122,378千円となります。
保険に入らなかった場合は、支払税金は67,700千円で、手残りは132,300千円となります。

まとめてみると、保険料を15,000千円純額で支払った結果、税金が5,077千円減少し、9,923千円の利益・現預金が減少したという結果になっています。

そう、この全損の保険では、節税になっていないのです!
確かに税金総額は減っていますが、手残りも減っているようでは節税とはいえないですよね?
今の全損の保険では、この例のものより返戻率が高いものはほぼない かと思います。
(この低金利の経済環境ですので)

ですので、節税のためだけに保険に入るんです! と言われると、
もう少しよく考えてから加入したほうがいいです! としか言えません。

保険を否定するつもりは全くありません。
経営者に万一のことがあった場合の備えは必要です。

実質的に、9,923千円で保険に入ったんです
この保障内容で、この保険料は安いですよね!


と、節税以外の視点を必ずもっていただきたいと思います。
③へ続く

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